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2010年 02月 08日

「この九谷は、我らにとってはちと、もったいない地であった。」
「佐渡や石見のようにということか」
「単なる鉱山ならば我らに執着はない。たとえばじゃが、お主らの一目置くあの南京焼も、この地でなくては生まれなかったということじゃが。まあ、それらのことは追々わかるだろうて」
「大聖寺藩九谷鉱山奉行の怪死事件は尋常のものではなかったと聞き及んでいるが。」
「土田清左衛門様には申し訳ないことをしたものだ」
「主らの正体見たり、翁に言わせれば、‘‘葛の葉の表みせけり・・・‘‘というところか」
「左様、かって、我らの一族がこの九谷に入る折、藩主利治公より清左衛門様に文が届けられましてな。その中身は大して問題はなく“山師たちは高慢ちきで扱いにくい、心して当たれ”という内容の代物だが、中ほどに‘‘隠密にて‘‘とあった。一族の者がどうも清左衛門様の目配りが違うとて文に目を付けたのよ。一読すれば、隠密裏にということで何ら問題はない様なのだが、墨つぎに見せて‘隠密‘がやや太く書かれていた。あらかじめ使いの者に含ませておけばたやすいからな。」
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by hirai_tom | 2010-02-08 00:10

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