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2010年 01月 15日

ある時、桃青はふと、それらの皿の中に“音”があることを感じ取っていた。“百花”と呼ばれる縁取りの草花の絵の中には鳥のさえずり、雑草の中の虫のざわめき、魚が飛び跳ねる音、見込みの絵からは時には人の話し声が聴こえたりもする。桃青はうれしくなった。己の句の中に欠けているものがここにはあったのだ。
彼等の技術は確実に、より造化をつかんでいた。そうか、句に広がりを持たすには、この細やかな造化を観る目が生きてくるのか。そして、この驚くべき感覚は、我等潜む者が持ち得る習性なのだ。桃青の身体に思わず戦慄が走っていた。
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※見込みは清流の中に白鷺だけであるが、百花の部分にはよく見ると大きな魚が潜んでいる。
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by hirai_tom | 2010-01-15 18:33

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