古九谷余滴   ⑨   

2012年 09月 10日

    古九谷余滴  ⑨―①     私の「古九谷」
          二十数年前に書いた原稿が出てきたので、恥ずかしながら載せました。

 「古九谷」の存在を知らずにいた私が、何故か縁あって焼物に興味を持ちだし、もう十数年になる。それまでの私は、みやげさんの九谷焼や食器としての瀬戸物でしか焼ものに触れることがなく、周りに氾濫する九谷焼は、むしろ「古九谷」の存在を否定するものであった。
 いつの間にか私は、これらに反発するかのように、越前・信楽・美濃といった土物の世界に興味を覚えていた。そこには土味の面白さがあり、手触りの温かさは心をなぐ和ませるものがあった。しかし、そうした産地や美術館を見て歩くなかで私なりに得たものは、古いものの中に非常に優れたものが多いという事であった。
 そして、中でも一段と他のものを圧して存在していたのが「古九谷」という色絵磁器であった。それは何か心の深遠な部分に触れるものがあり、魂を揺さぶる何かを持っていた。この焼物との出会いは、私の一生にとってまさに画期的な事件であった。
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by hirai_tom | 2012-09-10 14:33

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