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2010年 04月 21日

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七月 晦日 (陽暦 九月十三日)
                 快晴。 道明が淵。

  「御師匠。ご亭主、否“桃妖“が参りました。ご一緒に渓谷の案内をと申しております。」
「左様ですか、それではお世話願いましょうか。」
 「小春日和の良い日に御座います。道明ヶ淵は目と鼻の先に御座いますから裏木戸から参りましょう」
 木戸を開けると、黒塀に囲まれた扇子屋の別邸が目に入る。塀越しに白壁の二つの蔵、空間は庭であろう。黒塀に沿って一町計り歩むと、視界が開け、疎らな雑木林と開墾された幾つかの畑の間を縫うように一本の道が茂みに向かって続いている。茂みに近付くにつれ、ジャワジャワジャワジャワと瀬音が近づいて来る。数本の欅の木々の間を縫って茂みに入ると、直ぐ真下に渓谷の岩肌が見え、その岩肌に向かって小道が落ちている。岩間には橋が架けられ、その下には青々とした緑の流れがあった。
「どうじゃな、曽良。」
「絶景ですなあ。さあて、橋までは一二町は御座いますか。」
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by hirai_tom | 2010-04-21 21:09

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