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2010年 04月 12日

 酉の刻(暮六つ) 泉屋
                    曽良は申の刻に泉屋にもどりて翁を待つ。
 「河合様、お師匠様がお帰りなされました。」
 「お戻りなされたか、直ぐに参ります。」
 臥せっていた曽良、玄関先へ向かう。
 「師匠、お帰りなさいませ。皆様方もご一緒で御座いましたか」
 「具合は如何じゃな、少しは回復したかな。」
 「お供が出来なくて申し訳ございません。温泉に浸かり、しばらく臥せって居りました。はい、このとおり回復に御座います。」
 「河合様、それはようございました。当地の御湯は良く癒されます。回復なさるまでごゆるりと滞在されるがよろしいかと。」
 「有難う御座います。当地に参りまして、すっかり良くなりました。今では北枝様御同様ちと、夜の方が気に掛かりましてな。あっ、はあっ、はあ」
 「お師匠様、是には参りましたなあ。我等の取り越し苦労で御座いましたな」
 「此れは一安心じゃな、さて、今日はちと疲れましたかな、夕餉の前に一風呂頂く事に致しましょうか」
 「さあ、それでは私共は之にてお暇致しましょう。」
 「日長な一日、ご案内を頂き有難う御座いました。道明ヶ淵は流石に景勝の地で御座いますなあ。天気が良ければ明日は曽良を伴って、ぶらりと散策いたしましょうかと。」
 「其れがよろしゅう御座います。其れでは吾等は之にて失礼致します。」
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by hirai_tom | 2010-04-12 19:29

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