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2010年 07月 19日

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菅生石部社、・水守社を抜け、鍛冶町にはいる。立派な門構えに甍が二棟、頭を出している。
「手前が願成寺、隣りが本善寺です。何れの鐘楼にも“藤原朝官後藤才次郎定次”の鐘銘が入って居ります。」
「後藤は炉を使う物は何なりと、と云う事か」
「此処の物は福井の方で造らせました。“芝原”と云う所に鋳物の集団が居ります。」
「其処にも拠点が」
「其処が又面白い」
「技術集団には矢張り、伴天連の技術が」
「其処は又、後程に」
「処で、父君権左右衛門が亡くなられ、才次郎と御主等の代に入り、九谷の絵付けも随分と肩代わりをしたようじゃが」
「左様。才次郎にとっても、父の死は答えた様じゃ。」
「其処で、絵付けは久隅守景の手を借りたと云う事か。」
「まあ、守景一人と云う訳ではないが。」
「去れど、絵師を幾ら揃えても、中々先代には成るまい。」
「まあ、そうでもあるまい。去れど、時代と云うものか、さて、九谷やきの絵付け技術は有るのだが・・・。此れが何か、先代とは違ってくる。」
「左様左様。御師匠と吾等の様なもので、此れは移管し難い。あっはっはあー。」

by hirai_tom | 2010-07-19 12:17

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