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7-15   

2010年 04月 10日

「お主等に目を付けた前田家は、流石。やはり、百万石の雄藩だけの事はある。徳川殿も恐れた訳じゃな。」
「さればこそじゃ。利常公には念には念を入れて徳川家の切れ者、本田正信様の御子息政重様を加賀本藩筆頭家老と成された。」
「左様じゃな、随分と思いきった事をされた。其れまでは、政重殿は云わば豊臣恩顧の大名家を渡り歩いて来られた訳じゃから是は、両刃の剣じゃからなあ」
「さればこそ、五万石と云う大名家並の破格の碌で向い入れられた。」
「正に、功を奏しましたな。」
「今日までの御家安泰、親藩にも増した徳川家との結び付き、吾等の役目もそろそろかとな。さてさて、お山も此の辺りまで参りますと何もかも忘れさせてくれます。、鳥の鳴き声と静かなせせらぎの流れ、まるで別世界に御座いましょう。」
「左様、此処は一つ曽良にお任せ下さい“夏草や兵どもが夢のあと”さあて、如何じゃな」
「之は参りました。出来すぎに御座いましょう。さすれば、この句は御師匠のものかと。」
「お主に騙しは通用しないか、あっ・はっ・はあ」
「されど、流石は御師匠、今度の旅で又、新たな境地を掴まれましたな。」
「衣川で詠まれました。到底、吾等が及ぶところでは御座いません。」
「拙者が、父権左右衛門に対する思いと同様で」
「是も、詮無き事か」
「さあさあ、此れより十町ばかり遡りますと“女郎瀧”が見えて参ります。」
「さあて、その女郎蜘蛛と例の“馬のまき”なるものを御拝見としましょうか。」
「一山越えればその在所になります。其方を回り、下山と致しましょう。」

by hirai_tom | 2010-04-10 19:48

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